小山田壮平とThe Whoピート・タウンゼントとの相似性

くいしん

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くいしん twitter.com/Quishin

andymori『宇宙の果てはこの目の前に』雑談2/3(初出:2013年10月11日)

 


 

くい 飛び降り仲間としてね(笑)。で、元くんは『宇宙の果てはこの目の前に』が素晴らしい作品だと感じたわけですよね。だからこそ今回の記事があるわけですが、どこが最高なの?

田中 いや、最高でしょう! そう感じない人がいるとしたら何故なのか逆に問いただしたいくらいですよ。


『宇宙の果てはこの目の前に』andymori

くい いいアルバムだと思います。

田中 まず、“teen’s”が、アンディモリ解題になっているから好きですね。正直びっくりしました。最初の方の曲は、フツーのロックバンドのフォーマットでここまでできるんだなっていうのはあったんですけど、“teen’s”まで来たら、素直に、「あぁ、凄まじい」と思いました。

くい 具体的にはどういうところ?

田中 これまでアンディモリっていうのは、レコードのフォーマットを意識したアルバム作りをしていたじゃないですか。アルバム一枚で、30分強。一曲一曲も、平均すると3分くらいのものが多くて、長くても5分を超す曲が一曲とかで。そういった、これまで課していた枷のようなものが、このアルバムでは無くなっていて。

くい “teen’s”は長いよね。

田中 “teen’s”は6分半ありますけど、一秒たりとも無駄な時間が無いので。これは実際に十九歳の時に作った曲らしいんですよね。田中宗一郎さんがThe Stripesの記事で ピート・タウンゼントみたく、頭良すぎて、考えすぎて、結局、どうしようもない馬鹿になる。

こういうスタイルもあります。
苦しんで苦しんで馬鹿になる。
これはやはり比較的モダンな
ロックンロール・スタイルですね

参照:30分で教えます。「ストライプスを最高のロックンロール・バンドたらしめる10の条件」part.1 – the sign magazine

というふうに書いていたんですね。タウンゼントっていうのはThe Whoのフロントマンですが、これって小山田さんにも当てはまると思うんです。

くい あー、ホントだ。

田中 だって、早稲田を卒業していて、文学にもたくさん触れている人が、何も考えずに“FOLLOW ME”とか歌うわけないじゃないですか。あれとかも、アメリカの暗喩なのだと思うのですけど。歌詞に出てくる「太陽」は日本のことを指していると思うんですよ。

くい うん。

田中 太陽は日本の国旗に描かれているもので、様々なところで使われる比喩ですよね。で、破裂するまで歌ってあげるよっていうのは、日本がぶっ壊れるまで、陽気でポジティブな歌を聞かせてやるよってことだと思うんです。

だから俺たちアメリカについてこい、っていうことだと。まぁ今の時点で振り返ってみると、アンディモリ自体の暗喩にもなっているところがまた面白かったりはするんですが。ただアンディモリがなんで別格なバンドなのかっていうと、そんな裏に込められたメッセージなんてものは読み解けなくっても、聴けちゃうしハマれちゃうとこだと。

けれど、そこに行きつく前に、“teen’s”で歌われているような、考えすぎちゃっている時期があったという事が判ったことが、僕はうれしかったんですよね。それに僕がアンディモリに見い出していた、世の中を都合よく解釈せず、混沌のまま受容しようとしている様が、これでもかってくらいに表現されていますし。

「僕たち今幸せです、充実しています」っていう自分たちの日常を尊んだり賞賛したりする曲って好きじゃないんですよ。そういうのって、その輪の中にいない人間からするとイタいんですよね。けど小山田さんは、自分自身を含めて、何かを盲目的に信じ込んだりすることはなくて、口を開けば向井秀徳さんのように諸行無常さを歌ってしまう。

それゆえに混沌としているとも思うんですけど、世界って言うのはそういうものじゃないですか。その混沌とした状態に対して、何もなす術を持たない自分というものを、そのまま曝け出して歌っているという。

くい うん。

田中 1stや2ndを聴きまくっていたころは、「いったい何を歌っているんだろうな、この歌詞の意味って何なんだろうな」っていうことをものすごく考えていたんですよ。けど、“teen’s”を聴いたら、小山田さんがこういう社会的なメッセージを表現したいという気持ちが強い人だった、ということを確信できたのがうれしいですかね。で、初期はすごく難解な歌を歌っていたじゃないですか。

歌のメッセージ自体は十代が抱えがちなテーマかもしれないんですが、それを創作に落とし込むにあたって、1stや2ndのような表現にたどり着いたのかなって。これまで、プライベートな部分とか、心のうちとかを直球でさらすようなことはしなかった小山田さんがこのアルバムで初めてシンガーソングライター的な部分というか、悲しみや内省的な部分を、楽曲のデコレーションとかを施さないで出してきているな、と。

くい つまり、アンディモリのまったく違った面が見えたアルバムになったっていうことね。

andymoriベストソング

田中元
01.SAWASDEECLAP YOUR HANDS
02.teen’s
03.1984
04.FOLLOW ME
05.CITY LIGHTS
06.モンゴロイドブルース
07.光
08.life is party
09.everything is my guitar
10.16

くいしん
01.FOLLOW ME
02.1984
03.青い空
04.オレンジトレイン
05.すごい速さ
06.Sunrise & Sunset
07.16
08.CITY LIGHTS
09.クラブナイト
10.everything is my guitar


『宇宙の果てはこの目の前に』andymori

志村正彦を愛した皆様へ

あれから5年が経った。記憶を整理するのに5年という月日はきりがよくてちょうどいい。 僕にとってもそれは、悲しみを、悲しみとして告白できるくらいにしてくれる時間であった。 正直に言うと毎年この季節になると、志村について

185,000字で書く、andymoriのすべて(1/6)

(初出:2014年10月)     アンディモリの原稿を書かせてもらうことにした。もともと、アンディモリについてはいつか書きたいと思ってはいたのだ。けれど、彼らの作品に触れたことがある人には

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